So-net無料ブログ作成

『この世界にようこそ』ができるまで その3 [book]

livingontheaerth.jpg


『この世界にようこそ』ができるまで その3
対談 広瀬裕子(作者)× 藤原康二(編集)


■一瞬で書けたけど、時間をかけて生まれた物語

藤原 その打ち合わせから、しばらくは連絡しなかったんです。
広瀬 本当に随分とお待たせしてしまいました。1年くらい?
藤原 いや、9ヶ月くらいです。その間に、仕事とは関係ないところで何度かお会いすることがあったので、「何かアイデアが浮かんだら連絡ください」とだけお伝えはしました。それが突然、2014年10月に、「メモ書きです」と件名に書かれたメールが送られてきたのです。それが、ほぼ『この世界にようこそ』の最終原稿の状態の文章で。これはメモ書きではなくそのまま本にできると思って、「これ、このまま本になります」と連絡しました。
広瀬 そういえば、『イルカと友だちになる方法』の時と全く同じですね。ある時、こんなことが書きたいと浮かんで、メモ書きするつもりが、すぐにこの文章が書けてしまったんです。
藤原 でも、読んだら物語が完成していたので、細かいところを調整すれば、そのまま出せると思ったんです。
広瀬 あまりにも早く書けてしまったので、「このままで大丈夫」と言われた時は正直ちょっと不安だったんです。でも、藤原さんから「これまでに考えていたこと、経験したことが言葉になって一気に出てきた訳だから、一瞬で書いたのではない」と言われて、そうかと思ったんです。
藤原 これは、音楽家の青柳拓次さんから教えてもらったことなんです。アーティストには、一瞬で曲や詩を書き上げる時が稀にあるけれど、それは瞬間的に浮かんだものではなく、ずっと考えていたこと、経験してきたことがあってこそ生まれたもの。だから、それは凝縮した思いが溢れ出した瞬間で、時間をかけて生み出されたものなんだと。『この世界にようこそ』は、まさにそれだと思ったのです。広瀬さんのこれまで、そして震災後のこの数年の経験が詰まった言葉が、一瞬で出てきただけ。
広瀬 その話を聞いた後、本当にそうだなと思ったんです。その前にぼんやりと書きたいと思っていのたが、命が生まれ、終わり、そしてまた巡っていくというような話。だから、それがまとまったんだと。



aliciabook.jpg


■絵をアリシア・ベイ=ローレルさんに

藤原 時間はかかったものの、物語はすっとできました。でも……
広瀬 どうやって本にまとめようか、可能性を探って、そこから絵本に落ち着くまで時間がかかりましたね。最初は詩集にしようというアイデアもありました。
藤原 ちょうど広瀬さんが活版印刷に興味を持っていた時期で。
広瀬 そうそう、活版印刷ができる印刷所を紹介してもらって。全ページ活版で印刷して詩集にできないかなと思ったんです。いつか活版印刷で本づくりがしたいと思っているんです。
藤原 さすがに印刷コストの面で大変だったので、そのアイデアはなにしになりました。広瀬さんのこれまでの著書は文章と写真で構成されたものが多い印象だったので、今回は写真ではない表現にしたいと考えていました。もし、写真と言われたら違う方法を提案しようと思っていたら、広瀬さんから絵本にするアイデアをいただいたので、それでいきましょうと即答しました。
広瀬 でも、誰に絵をお願いするか、なかなか決まらなかったんですよね。
藤原 正式に決まる前に、数人の作家さんに文章をお送りしてダミーで1枚だけ絵を描いてもらったりしたのですが、なかなかしっくりこなくて。
広瀬 ぴたっとはまる人が見つかるまで、しばらく置いておこうかと、うちでお話をしていたのですが。
藤原 広瀬さんのおうちで、そんなお話をしていた最中、突然「アリシアさんはどう?」と。
広瀬 飾ってあったアリシア・ベイ=ローレルさんの『地球の上に生きる』の表紙の絵のポスターを見て、「そうだ、アリシアさんがいるじゃない」と気がついたのです。アリシアさんの絵、昔から大好きで。
藤原 突然言い出したので、びっくりしました。私もアリシアさんの2冊の本『地球の上に生きる』『太陽とともに生きる』(草思社)は20年前から本棚にずっとあって、大好きな本でした。しかし、アメリカ人だし、アリシアさんには大変申し訳ないのですが、今でも現役で活躍されているとはその時は知らなかったのです。もしかしたらもうお亡くなりになっているのでは、と最初思ったくらいで。
広瀬 ひどい(笑)。元気に活動されていますよ。
藤原 なにせ『地球の上に生きる』が発売されたのはもう45年も前のことだから。その後調べたら、アリシアさんは今66歳で、音楽もしていてライブで何度も来日していることを知ったのです。でも、どうやってコンタクトをとろうかと思ったら、広瀬さんが一緒に旅をしたことがあると言い出したので、びっくりしました。

その4へつづく
http://millebooks.blog.so-net.ne.jp/2015-05-15

■その1はこちら↓
http://millebooks.blog.so-net.ne.jp/2015-05-12-1

■その2はこちら↓
http://millebooks.blog.so-net.ne.jp/2015-05-13


nice!(0) 

nice! 0